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【超!シラバス】刑事政策ってどんな授業?教授に聞いてみた!

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こんにちは!一橋map運営メンバーの経済学部3年おすしです。

シラバスだけでは読み解けない授業の特徴や魅力を、担当教員にインタビューしながら紹介する「超シラバス」。
今回は、法学部の秋学期に開講される「刑事政策」の授業を担当される王雲海先生にインタビューをしてきました!

王先生、ご協力ありがとうございました。

※本記事に掲載されている内容は、取材時点でのものです。最新情報はシラバス等をご確認ください。

刑事政策

開講時限:秋学期 火2・金2
担当教員:王雲海先生
形式:対面、抽選なし

先生はどんな人?

王先生はどういった経緯で一橋の教授になられたのですか?

私は名前から分かる通り中国出身で、一橋に来て今年で40周年になります。専任講師、准教授、教授になって、研究と教育で今日までいたってきました。40年間主に研究してきた内容としては比較刑事法・比較刑事政策というもので、日本・中国・アメリカの三国の比較を行っています。

なぜ留学先として一橋を選ばれたのですか?

1983年の中国全国の外国留学試験で合格し、中国の文部科学省の派遣で日本の一橋大学に来ました。文部省は研究計画書を見て、各大学にどういった配分で派遣するかを決めていますので、私の場合運よく一橋大学に行きなさいという支持を受けました。とてもラッキーだったと思います。

この大学にいられたら分かると思うのですが、人もいいですし、学問・教育の雰囲気もいいですし、日本でとても優れている大学だと思っています。世界の色々な大学に滞在したことがありますが、世界で見ても最も優れている大学の一つです。

そうなんですね笑 在学生として嬉しいです。
法学の分野以外も優秀だと評価されているのでしょうか?

いずれも高く評価されています。アメリカで日本を研究している人なら、一橋大学はアジアのハーバードって言う人がいるぐらいです。

刑事政策ってどんな授業?

「刑事政策」とはどういったものですか?

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本当のことを言うと、今一番教えたい科目は刑法でも比較刑事法でもなく、この刑事政策なんです。

我々の現在社会は、私の言葉だと「高度情報化された大衆社会」になっています。このような社会において昔と何が変わったかというと、やはり刑罰問題に対する関心がかつてないほど高くなっています。

そして、その犯罪と刑罰問題に対する見方、あるいはその犯罪と刑罰に関する政策を決定するメカニズム、あるいはその軸は社会が情報化・大衆化されたことにより昔と大きく変わっています。昔までは、刑事政策、犯罪刑罰問題はどちらかというと専門的な問題として扱われてきましたが、1990年代後半に入ってからは、インターネットなどを中心として形成された、いわゆる民衆の考え方が、かつてないほど犯罪・刑罰問題・刑事政策に影響を及ぼすようになってきました。

それは民主主義的な側面ではよいことのように一見思えますが…?

単純な民主主義的視点からはそう言えるかもしれません。しかし、民主主義の前提としては立憲主義と法治主義があります。

我々の社会は、ただ多数少数という民主主義で決定・形成される社会であるべきかというと、そうでもありません。人が多数か少数かという問題だけではなく、合理的かどうか、人権保障的か。たとえ少数であっても合理的であれば、人権保障的であれば、やらなければならない。今の社会は、どちらかというと民主主義が上になりすぎて、法治主義は抑えられている現状です。端的にそれが現れているのは、やっぱり刑事政策の問題です。

たとえば性犯罪などの厳罰化も問題になっていますが、そのようなものも扱うのでしょうか?

性犯罪はおっしゃる通り、もっと厳しくしろっていうのが潮流です。

例えばアメリカではメーガン法という法律があり、性犯罪を犯した人が刑期が満了してから無条件に釈放されるのではなく、住む予定の地域の住民に「この人が元性犯罪者である」ということを知らせ、さらにGPSの取り付けによる監視やその元性犯罪者が毎日どう行動するかを報告させるということを定めています。

ここでクイズなんですけど、窃盗罪と性犯罪では、どちらの方が再犯率が高いと思いますか?

実は、窃盗罪の方が再犯率が高いんです。詐欺罪と性犯罪でも同じことが言えます。性犯罪より再犯率がずっと高い。

この場合、なぜ窃盗罪・詐欺罪はただ釈放されるだけなのに、性犯罪は条件付き釈放になるのかを、法律上どう説明するのか?メーガン法はアメリカで広がり、ヨーロッパ・韓国、そして今度は日本も導入しようとしていますが、合理性・正当性があるのか検討するのがまさに刑事政策の問題です。

授業はどのような形で進めますか?

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毎回スライドを学生に配布します。教える内容とぴったり合う教科書はないので、特定の教科書は特に指定はしません。前提とする知識や授業は設定していませんので、法学部生以外の受講も歓迎です!

授業の予習復習はあまりさせないのが私のスタイルです。その代わり、授業に出席して授業を一生懸命聞く、そして授業内で解決できるようにしてくださいということです。

良い勉強法とは、授業中に全て消化する。これをどの授業においても意識してほしいと思います。

成績はどのようにつけていますか?

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成績はまず出席点です。次に質疑状況。ただ、これは成り立つ年もあれば成り立たない年もあります。

そして期末試験です。学生の役目はできないことをできるようにすること、先生の役目は分からない状況から分かるようにすることです。

先生は判定者ではなく教育者で、判定するための大学ではなく、教育するための大学です。むやみに厳しくつけても、その人のやる気を削ぐ形になるし、海外留学にも不利です。そのため、私は成績をつけるのは甘くというか、正常に、そして教育らしい成績をつけます。

授業を通して伝えたいメッセージはありますか?

私の授業では、まず第一に何が刑事政策なのかということを説明します。次に、その伝統的な刑事政策はどういったものか、そして情報化・大衆化された現代社会で刑事政策はどんなものなのかを考えます。

最後に、今の社会において犯罪・刑罰問題、特に刑事政策の問題をどのように考慮すべきなのか、民主主義と法治主義のバランスが取れた刑事政策像をみなさんに提示してこの授業を完結させるつもりです。

もう一つ、みなさんに話したいことは、先ほどのメーガン法に関して、日本は科学的な根拠があるのかどうかを厳しく長期的に検討しています。アメリカやヨーロッパ、韓国は急に普及したのにも拘らずです。言い換えますと、刑事政策について日本は世界で一番合理的・理性的に行動していて、世界トップクラスです。

刑事政策については、外国から何かを取り入れるのではなく、外国に理解してもらい取り入れてもらうのが日本の役目であるということを、ぜひこの授業で理解してもらえればと思っています。

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