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【超!シラバス】マクロ経済学Ⅰってどんな授業?教授に聞いてみた!

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こんにちは!一橋map運営メンバーの経済学部3年Rです。

シラバスだけでは読み解けない授業の特徴や魅力を、担当教員にインタビューしながら紹介する「超シラバス」。
今回は、経済学部で冬学期開講の「マクロ経済学Ⅰ」の授業を担当される寺本和弘先生にインタビューをしてきました!

※本記事に掲載されている内容は、取材時点でのものです。最新情報はシラバス等をご確認ください。

マクロ経済学Ⅰ

科目分類:経済学部発展科目(300番台科目)
開講時限:冬学期 火3・金3
担当教員:寺本和弘先生
形式:対面、抽選あり

シラバス(https://syllabus.cels.hit-u.ac.jp/hit_syllabus/2024/03/03_1EB30301_ja_JP.html)より引用

先生はどんな人?

専門分野はマクロ経済学と労働経済学とのことですが、具体的にどのような研究をされているのですか?

労働経済学は分析対象や分析手法が幅広く、私はその中でもよりマクロ経済に近い分野を研究対象としています。

いわゆる「マクロ労働経済学」におけるもっとも重要な経済指標は失業率です。失業率とは、単に労働市場の状況を表しているだけではなく、企業の雇用コストの変化を通じてインフレ率にも波及してくるものです。実際、アメリカの中央銀行は「物価と失業率の安定」を目標として掲げているなど、各国の制作当局も失業率の変化を注視しています。また失業は、家計の所得を大きく低下させるものなので、所得格差や資産格差といった不平等を作り出す大きな要因にもなるのです。

また、分析手法も特徴的です。
ミクロ労働経済学では、政策変更(最低賃金の変更や失業給付の拡充など)が企業や労働者にどのような影響を与えるか、主に計量経済学の手法を用いて議論を展開します。他方、マクロ労働経済学では、ミクロの実証結果を基礎として、失業率などのマクロ変数がどう動くのか、主に均衡モデルを用いて議論を展開していきます。

ですから、関心はマクロにあるとはいえ、その集合体を形成する個(ミクロ)の行動はマクロの分析において重要です。

例えば、失業率が例えば3パーセントで同じだったとしても、その間で人が入れ替わっているのか、それとも全く同じ人が失業しているのかでは状況は全く違います。そのような労働者のフロー(流れ)も分析して失業率の変動がどのような意味を持つのかを研究しています。

失業率が同じ割合のとき、人の入れ替わりが激しい場合と、ずっと同じ人が失業している場合だったらどちらがよいのでしょうか?

もちろん状況によりますし、背後に想定するモデルによって何をもって「よい」とするのかの価値判断は変わるので一概には言えないという前置きはありますが、基本的には入れ替わったほうが健全な労働市場の姿だといえます。

「失業」を職を探すための待ち時間と捉えると、後者の場合は永遠に働けなくなってしまうため、適材適所を作り出す場としての労働市場の状態としてはあまりよくない状態といえます。それであれば、一定のシャッフルが起こって、個人が短期間で新しい職を得られる状態のほうが、全体としては適材適所に近づく可能性が高くなります(もちろんシャッフルが大きすぎるのは、個人の失業リスクが高まるので問題にはなりますが……)。

そのように人が入れ替わるのは、企業にとってもよいことです。

ある企業内で、仕事と労働者のマッチ度が悪いとします。その労働者が、同じ企業の他部署や別企業へ移ることができれば、空いたポジションで別のマッチ度が高い労働者と巡り会えるかもしれないのです。ですから、求職活動・求人活動は、短期的には時間や労力を要するものですが、「よいマッチ」を得るための投資と捉えることができます。そうした個別の「マッチへの投資」が、マクロ全体の集合体として生産性に影響を与えてくるのです。

この「マッチ」というのは非常に重要なイシューで、失業率や有効求人倍率といったよく耳にする指標は、マッチのための投資の効率性を測っている代表的な指標だということができます。

先生が失業率などのマクロ労働経済学を研究しようと思ったきっかけはありますか?

よく尋ねられるのですが、実は明確なきっかけがあるわけではありません。

今日本で暮らしていると、失業率は2〜3%ほどでだいぶ低く、大卒の内定率も過去最高の水準で、今から就活を控える学生でさえも失業や不本意な就職になるリスクをあまり実感していないかもしれません。

しかし私が学生だったころは、リーマンショックや東日本大震災が起こり、就職活動のリスクがとても大きな時代でした。また、私より上の「就職氷河期」と呼ばれる世代の人たちの状況はもっと悲惨で、その世代の雇用問題は20年以上経った今でも解決されていない大きな課題です。

やはり「労働」についての問題は、私たちにとってミクロ的にもマクロ的にも身近で重要です。そのため、労働市場に注目して研究をしています。

マクロ経済学Ⅰってどんな授業?

授業を通じて、学生にはどのようなことを学んでほしいですか?

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「マクロ経済学Ⅰ」は300番台科目なので、学部生向けの授業としてはこの大学で一番レベルの高いマクロ経済の授業です。

メディアなどで議論されるマクロ経済の話は、基礎マクロ経済学である程度は理解できるようになるかもしれません。しかし、それだけでマクロ経済分析ができるほど世の中は単純ではないのです!

現状、大学院で学ぶ内容と、学部で学ぶ内容・モデルを扱う難易度にかなり大きなギャップがあります。これを埋めるのが長年の課題なのですが、両者の橋渡しをしたいというのが私の授業へのモチベーションです。

マクロ経済学Ⅰでは、「これがわかればある程度議論にはついていけるかもしれない」という根幹の部分を扱います。この「木の根幹」を軸に、分析対象に応じて枝葉を伸ばしていけば、いろいろなことに応用できます。その枝葉は、「マクロ経済学Ⅱ」やゼミ、大学院や社会に出てから学んでいただきたいと考えています。

基礎マクロ経済学などと比べると、やはり数式の扱いなどは難しくなりますか?

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そうですね、少しだけ数学のレベルは上がりますが、なるべく抑えようという感じです!

逆に言うと、ミクロで習うような最適化問題くらいは要求されますが、それ以上(例えばパソコンで数値計算をするなど)はマクロ経済学Ⅰでは扱いません。紙とペンで計算して、最適化条件や均衡条件の数式を言葉で説明できるようになることを重視しています。

成績評価について教えてください!

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最後の試験だけですね。私の授業では出席は評価に全くカウントしないので、成績という意味では期末試験の成績が良ければという感じです。でも授業では、せっかく来てくださっているのでスライドに書いてある以外の話もいろいろしたいなと思っています。

試験は、基本的にスライドの内容がきちんとわかっていれば対応できます。簡単な練習問題を毎年作っているので、それも参考にしてください。また、私の個人ホームページに2年分の過去問があるので、そちらも活用していただけると対策を立てやすいのかなと思います。

最後にマクロ経済学Ⅰを取ろうと考えている人にメッセージをお願いします!

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先ほど言った通り、成績評価は本当に試験だけなので、純粋にマクロの内容を学びたいと思っている人に来ていただきたいと思っています。試験問題もやや難しめかと思うので、それなりにこの授業に真剣になって臨むという形にしないとよい成績を取るのは厳しいと思いますが、真剣に取り組めば得られるものは大きいのではないでしょうか。

モチベーションとしては色々あっていいと思います。

例えば4年生は就職先が決まっている方も多いと思いますが、特に就職先が官僚等公的セクターの場合は大なり小なりマクロ経済学と関わりを持つと思います。その人たちにとってはかなり役に立つ授業になるでしょう。

2年生や3年生の場合は、これからのゼミでの分析や論文を読むときの手がかりとして生かせる部分があると思います!

寺本先生、ありがとうございました!
「マクロ経済学Ⅰ」のシラバスは、下記からご覧いただけます。

参考

『マクロ経済学Ⅰ』シラバス

syllabus.cels.hit-u.ac.jp

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