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大学1年生から就活生まで使える、“スロー就活サイト”『CareerPod』とは?
解説記事
こんにちは!UTmap編集部です。
社会人の先輩に、学生時代から現在のキャリアに至るまでの歩みを伺う「卒業生インタビュー」。
今回は、東京大学農学部ご出身で、現在はSHAPE Partnersでエンタメ企業へのコンサルティングを手がける、北浦ひな子さんへのインタビューです。
東京大学での学生生活で得た学びや就職活動時のエピソードについて、詳しく伺いました。コンサル業界に興味のある方だけでなく、将来に漠然とした不安を感じている大学1〜2年生の皆さんにも読んでほしい内容です。ぜひご覧ください!
SHAPE Partners マネージャー。東京大学農学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。消費財・小売業界を中心に、中長期の全社戦略、マーケティング戦略、新規事業開発などの立案・実行支援プロジェクトを担当。のちに、スポーツ・エンタメ領域に強みをもつコンサルティングファームであるSHAPE Partnersへ参画。現在は、エンタメ業界を中心にコンサルティング支援を行っている。
ーー最初に東京大学での学生生活について伺いたいと思います。まずは東京大学を志望した理由から教えてください。
北浦さん:
小さいころから理科が好きで、身の回りの現象を理解することに興味がありました。高校でも物理や化学が特に好きで、自然と理系を目指すようになりました。
一方で、理系の中で専門にしたい分野は絞り込めていなかったので、入学後に進学選択で学部を選べる東京大学は、非常に魅力的でした。また当時はパソコンの仕組みに興味があり、「情報系も面白そう」と感じていたのもあり理科一類を志望したと思います。
ーー情報系にご関心があったのですね。実際に入学されて、大学1~2年生の頃に受けた駒場の授業では、どんなことが印象に残っているでしょうか。
北浦さん:
駒場では、人気の授業を友人と一緒に受けたり、自分の関心のある授業があれば一人で取ってみたり、気ままに授業を選んでいました。理系科目では、熱力学や基礎統計の授業は、先生が魅力的で授業が面白く、今でも記憶に残っています。また、社会心理学の授業の中で、心理実験に加わり、文系的な視点に触れられたのは貴重な経験でした。
全体的にそこまで明確な狙いを持って授業を選んでいたわけではなかったんですが、関心に応じて自由に授業を選べる環境は、振り返るとかなり貴重だったと思います。
ーー理系でも文系科目の授業を自由にとることができるのは、東京大学ならではですね。進学選択では、どの学部を選ばれたのでしょうか。
北浦さん:
農学部の生物環境工学専修に進みました。先ほど触れた関心の面から、第一志望は教養学部の情報系学科だったのですが、残念ながら点数が足りなかったため、進学可能な学科の中で少しでも情報系の分野が学べそうなところを選びました。
ーー進学選択では必ずしも希望の学科に進めるわけではないというのは、難しいところですね…。農学部では、どんな授業を受けられましたか。
北浦さん:
学科の授業では、材料力学といったテーマや、田無にある農場での実習など、理論というより応用寄りの内容が多かったです。そのほかにも有機化学や農業政策など、時間に余裕があったこともあり、関心のある分野については他学科の授業も取っていました。
ーー社会科学も含めて幅広い分野の授業を受けられるのは、農学部の魅力ですね。卒業論文ではどのような研究に取り組まれましたか。
北浦さん:
卒論のテーマは「リモートセンシングを用いた森林季節の特定」でした。光の反射スペクトルから、葉の色の変化を分析することで、森林のCO₂吸収量の予測につながるというものです。
卒論研究の経験は現在の仕事にも活きていると思います。コンサルの仕事というのは、数か月という限られた期間の中で、企業の抱えるビジネス上の課題を解決しなければなりません。そのため解決策の仮説をスピーディーに立案し検証することが求められます。
これは研究において「前任者の行った研究を元に仮説を構築し、それを検証する」というプロセスと非常に近いです。卒論を通じて仮説構築・検証の根本的な考え方を学ぶことができたのは、いい経験でした。
ーーありがとうございます。実際に、理系出身でコンサルのキャリアに進む方も非常に多いですよね。そのほかにも、大学時代の学びが今につながっていると感じることはありますか。
北浦さん:
他学部の講義で特に印象に残っているのが、河合祥一郎先生の「表象文化論」というゼミ形式の授業です。元々演劇に興味があり受講しましたが、シェイクスピアやチェーホフなどの戯曲を取り上げてみんなで議論するのがとても楽しかったです。また、現在も演劇会社を支援するプロジェクトに参加しており、授業で得た知識や視点が非常に活きています。
進学選択で希望の学科に進学することはできませんでしたが、学生時代に好きなことを自由に学んだことが、結果的に今のキャリアにもつながっていると感じます。

ーー次に、授業以外の活動についても教えてください。どのようなサークル活動に参加されていましたか。
北浦さん:
「東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCAST」(以下、CAST)と「東京大学E.S.S」(以下、ESS)の2つに所属していました。
CASTでは小学生向けの実験教室を行い、理科の楽しさを伝える活動をしていました。ESSでは英語スピーチや英語劇など幅広い活動があり、私は即興スピーチ大会に出たり、スピーチコンテストの副実行委員長を務めて、パンフレットやウェブサイト制作を担当したりしました。
ーーサークルの経験を通じて学んだことはありますか。
北浦さん:
CASTの活動を通じて、「研究に向いていないかもしれない」という気づきを得ることができました。CASTでは理論を突き詰めるタイプの人が多く、その人たちと比較すると、私は一つのことに没頭し続けるタイプではないのかもしれないと感じたんです。それが、大学院ではなく就職の道を選ぶ大きなきっかけになりました。
ーーありがとうございます。学外でも活動されていたことがあれば、ぜひ教えてください。
北浦さん:
大学1年の冬休みに、2か月ほどアメリカのUCLA付属の語学学校に行きました。知り合いの紹介で、斡旋会社を通して参加したのですが、現地ではさまざまな国の人と交流して、とても刺激的でした。中国の富裕層の学生など、普段出会えない異なる価値観の人たちと話す機会があって、世界の広さを感じました。人生経験として大きかったと思います。
また、ゼミで出会った人に誘われて、IPA(情報処理推進機構)の「未踏アドバンスト」という、起業を目指す人たちを支援するプログラムに関わりました。3Dプリンターで建築を作るプロジェクトに参加して、実験を通じて建築に使う素材を決めたり、海外の展示会(South by Southwest、通称SXSW)に出展したり、とても実践的な活動でした。大学の枠を超えて、ものづくりの現場で動く経験ができたのは、得がたい経験になりました。
そのほか、趣味の話にはなりますが、時間に余裕があったので、ミュージカルや演劇に加え、歌舞伎、バレエなど、幅広いジャンルの公演に、年間50回ほど行っていました。これは現在のエンタメ業界のコンサルティングの仕事にも活きているので、学生時代に趣味に没頭できたのは、振り返ってみてよかったと感じます。
ーー学外でも様々なことにチャレンジするのは、視野が広がる良い経験ですよね。その他にたとえば長期インターンにもご参加されたのでしょうか。
北浦さん:
それほど長期間ではありませんでしたが、スタートアップでエンジニアの長期インターンに参加していました。プログラミングの基礎を学んだうえで、ECサイトにおける会員登録や購入に至るまでのコンバージョン率改善などに取り組みました。
開発の現場で感じたのは、短時間で多くを求めるビジネス側と、背景を知らないまま開発を進める技術側の間に、コミュニケーションのズレがよく生じるということです。この時の経験から、ビジネスサイドと技術者サイドの「橋渡し」ができる人になりたいという気持ちが強くなりました。
良い技術があっても、それが社会に正しく伝わらなければ広まらないので、「自分がつなぐ役割を果たしたい」という思いを持つようになり、これが就活の時にも一つの軸になっていたと思います。
ーー就職活動はいつ頃から始められたのでしょうか。
北浦さん:
大学3年の夏前から動き始めました。長期インターンで感じた「テクノロジーと社会をつなぐ仕事がしたい」という思いをもとに、情報通信を所管する総務省のほか、ITコンサルや通信系の企業を中心に見ていました。
当初は、“社会全体の仕組み”を動かせるという、官庁の仕事の唯一無二性に魅力を感じ、総務省を第一志望にしていたんです。ただ、省庁の仕事は下積み期間が長いという懸念に加えて、民間企業の内定の方が早く出たことから、結局は民間企業を選ぶことにしました。
ーーでは、コンサルティング業界、その中でもマッキンゼーを志望した理由を教えてください。
北浦さん:
コンサルを志望したのは、民間企業に就職するなら、ビジネスのいろはを学びたいと思ったためです。また、若いうちから裁量が大きく、成長しやすい環境にも惹かれました。
その中でもテクノロジーとの関わりが大きいITコンサルを複数社受けていたところ、マッキンゼーもデジタル領域に注力していると聞き、3年の秋に選考に参加しました。最終的にマッキンゼーを選んだ決め手は、正直に言えばネームバリューに魅力を感じたというのが大きかったです。
ーーかなり順風満帆な就職活動だったのですね。選考対策はどのように行われていたのでしょうか。具体的な準備の方法もお伺いしたいです。
北浦さん:
コンサルのケース面接は、「東大生が書いた」シリーズの問題集を読んで、フェルミ推定やビジネスケースの考え方に慣れておきました。ただ、対策をやりすぎてしまうと、そのことが面接官に伝わって印象がよくないと思ったので、実際の面接のときには、面接官との対話をいかにスムーズに行うかということを意識していました。
また、面接は場数を踏むことが何より大切だと思います。いろいろな企業の面接を経ることで、各エピソードの話し方や、難しい質問への対応を徐々に磨いていくことができました。
ーーありがとうございます。就活全体を振り返って、やって良かったことは何ですか。
北浦さん:
一番やって良かったのは、「たくさんの大人に話を聞いたこと」です。親や知人の紹介を通じて、官庁の方や企業の方などいろいろな方の話を聞くことで、視野がかなり広がっていきました。
今振り返ると、学生という利害関係がない立場だからこそ、本音を聞けたのだと思うので、志望外の業界の方も含めて、もっとたくさんの方に会って話を聞いても良かったとも思います。当時は「東大生という肩書きがあるうちに行動したほうがいい」と周りに言われてもピンと来ていませんでしたが、今では本当にその通りだったと思います。
ーーここまでのお話も踏まえて、学生時代の過ごし方についてのアドバイスをいただけると嬉しいです。
北浦さん:
一番大切なのは、自分の好きなことや興味のあることをやり続けるということではないでしょうか。周りに流されてなんとなく過ごしていては、楽しく充実した人生を歩むのは難しいのではないかと思います。「自分が何をやりたいか」「何を楽しいと思うか」「人生の軸が何か」といったことを、様々なことに挑戦してぜひつかんでみてください。やってみて合わないと思ったら、すぐにやめられるのも学生の特権です。

コンサルティングの仕事の魅力や、転職活動のエピソードなど、本記事のつづきは、大学1年生から就活生まで使える”スロー就活サイト”「CareerPod」でご覧いただけます!
また、今回のインタビュー内容については、YouTubeでもダイジェスト版の動画を公開しています。文章では伝えきれない雰囲気やリアルな言葉も感じていただけますので、ぜひあわせてご覧ください!
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UTmapの記事をお読みいただきありがとうございました。