インタビュー・レポ

本気でぶつかり合う3カ月|UGIP ダイキン企画 参加者インタビュー

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東京大学が、グローバル人材の育成のためにさまざまな企業と共同で開催している東京大学グローバル・インターンシップ・プログラム(UGIP)。

2023年度のダイキン工業株式会社の企画は、ダイキンのインターン生として北米・欧州・アジア・世界一周の四つのグループに分かれて、実際に海外でダイキンがビジネスを展開している国々を訪問、課題解決の方策を提案するもの。
今回は、実際にプログラムに参加した教養学部文科二類2年の内田啓太さん、教養学部文科二類1年の鈴木彩葉さんに、3カ月にもわたるプログラムの魅力や苦労、得られた成果などを聞きました。

UGIPで夢が叶う?

UTmap編集部:
UGIPに参加しようと思ったきっかけはなんですか?

鈴木:
高校時代、コロナ禍で全然海外に行けなかったため、大学ではいろんなところに行きたいと考えていたところ、登録していた東大のメールマガジンでUGIPの存在を知りました。プログラムで世界一周できると知り、長年の夢だった世界一周が叶うかも知れないと思って応募しました。でも、自分が受かるとは思っておらず、いざ受かるとびっくり、という感じでした。

内田:
私は文科II類出身なのですが、文科II類の2年次のSセメスターは必修も少なく、暇になりがちなんですよね。それで、他の科類の人との間で大学生活の質に差が出る、というところに危機感を抱いていました。そういう意味で、UGIPに参加すれば充実したセメスターにできると考えたのが一つです。

また、単に海外渡航、インターンというだけでなく、国内での事前プログラムが用意されている点に魅力を感じたのも参加した理由です。ちゃんと国内で勉強し、知識を深めてからインターンに参加できるのは嬉しかったですね。

一人ひとりの成長を重視したプログラム

UTmap編集部
実際に、UGIPでどのような活動をしたか、全体像を教えてください。

鈴木:
渡航前、6〜8月に東京でさまざまな事前セッションがありました。例えば、7月の初めにキックオフセッションが行われたり、8月には大阪のダイキン本社を訪れて工場も見学したりしました。渡航後も、振り返りセッションや最終報告会を東京で行なっていました。プログラムを振り返ると、単なる見学会、インターンという感じではなく、ダイキンの社員さんとのコミュニケーションも密にとることができ、一人一人の成長だったり、参加者同士の交流も重視されたプログラムだったと思います。

内田:
欧州滞在型独自のものでいうと、欧州滞在型の人たち何人かで集まって勉強会をしたり、展示会に行って欧州におけるダイキンのマーケットがどのようになっているか調べたりしていました。

地域の実情に沿ったテーマ設定

UTmap編集部
鈴木さんは世界一周型、内田さんは欧州滞在型とそれぞれ異なるプログラムに参加されていますが、プログラムの内容の相違について教えてください。

鈴木:
プログラムごとに内容は結構違って、地域ごとに課題、テーマが決められています。内田さんの行った欧州滞在型プログラムではヒートポンプという環境に優しい暖房・給湯システムの市場を欧州で拡大する方法、が課題でした。私が行った世界一周型プログラムでは、2030年以降に向けてダイキンが発展、成長していくために必要なアクションは何か、というテーマでした。他のテーマに比べると抽象的なものだったのですが、これについてチームで考えて、最終報告会でプレゼンするまでが一つのプログラム、という形ですね。

UTmap編集部
プログラムとしては、事前に与えられたテーマに沿って国内、海外で勉強して報告する、というイメージですかね?

内田:
そうですね。ただ、テーマから外れていても自分が興味を持ったことを調べて、それに結びつけて考えたりすることはできたので、決められたテーマに縛られている、という感じは強くなかったですね。

滞在先を越えた交流も

UTmap編集部
各滞在拠点の内部では交流の機会も多いと思うのですが、拠点を跨いだ交流はあったのでしょうか。


世界一周チームは、北米チーム、欧州チームとそれぞれ1週間ずつ一緒に過ごして、最後、インドは世界一周チームだけという感じでしたね。一緒にいる間は他のチームと同じ講義を受けて、同じ場所に行っていたので、そこでの交流はありました。また、日本での事前、事後のセッションは全部のチームで一緒に行うので、他のチームの人と話したり、意見をもらう機会もありました。

現地法人社長との面談機会も

UTmap編集部
具体的に、海外では何をしていましたか。

内田:
欧州チームでは、欧州で働いているダイキンの社員やエアコンを販売している小売店を訪ねて、ダイキンの強みや課題をヒアリングしました。そこから、ヒアリングで得た情報をもとに課題解決のためのアイデアを練っていました。

鈴木:
世界一周チームでは、北米・ヨーロッパ・インドに1週間ずつ、計3週間訪問して各地域で工場見学や現地社員とのディスカッションをしました。それぞれの地域で、時には深夜にまで及ぶ何回ものディスカッションを経て、自分たちのアイデアをブラッシュアップしていった、という感じですね。

UTmap編集部
お二方、それぞれさまざまな場所で現地社員の方とお話されていますが、どのような方と、どんな話をしましたか?

鈴木:
アメリカでは、営業を担当している社員、現地採用のアメリカ人もいれば、日本人もいるのですが、に話を聞いていました。現地の社員とは、英語でのコミュニケーションでした。現地の工場で働いている人と話す機会もあったのですが、それよりは日本から赴任しているマネジメント層と話す機会が多かったです。

内田:
欧州では、現地法人の社長とも面談の機会がありました。ざっくばらんに話を聞けて、貴重な機会でしたね。

UTmap編集部
現地での情報収集を、具体的にどう施策に活かしましたか?

内田さん:
欧州市場全体ではダイキンはトップですが、国によってその立ち位置が異なることは大きかったです。例えば、ドイツでは「フィースマン(Viessmann)」などのメーカーが優位であり、ダイキンの地位が相対的に低いことに加え、そもそもヒートポンプの認知度が他の国よりも低いという課題が浮かび上がりました。一方、フランスやベルギーでは環境意識が高く、ヒートポンプの認知自体は進んでいるため、ダイキンのヒートポンプをどう売り込むかが課題となりました。そういう情報を現地の社員から聞けたのは、施策検討のうえで役に立ちました。

休暇には観光も!

UTmap編集部
プログラム中に楽しかったことを教えてください。

鈴木:
いろんな国を観光できたことですかね。3拠点を巡るプログラムで、週末には休みがあり、その日に観光ができました。私は初めての海外だったので、インドでタージマハルに行けたりしたことは、すごく良い思い出になりました。海外観光ができるのはこのプログラムの魅力の一つだと思います。その分、求められるアウトプットは結構ハードなんですけどね。

内田:
もちろん観光も魅力ですが、各拠点でのウェルカムパーティーやフェアウェルパーティーがあり、そこで美味しい食事やお酒を楽しむ機会があったのは良かったです。

本気でぶつかり合うが故の苦労も

UTmap編集部
では、プログラムで大変だったことを教えてください。

鈴木:
プロジェクトチームのディスカッションやプレゼン作成は、チーム内での意見の食い違いや人間関係の調整が難しかったです。さらに、異なる地域を移動することで体調が崩れることもありました。

内田:
鈴木さんと重なるところがありますが、発表のためにグループで話し合う機会が多いので、どうしても意見が合わないこともあります。そんな中、角を立てずに、自分の意見を確実に相手に伝えるにはどうすればいいか、そういうコミュニケーションが取れる人間関係をどうやって築くか、は考えなければいけないことが多かったですね。そういう部分は魅力でもあり、また大変だった部分と言えます。

鈴木:
UGIPの特徴として、東大の学部1年生から大学院生まで参加していることがあげられます。そんな中、上下関係もなく、皆が妥協することなく自分の意見を本気でぶつけ合う、ある意味変な空間だなと思いながら私も参加していました(笑)。

内田:
海外に行くだけでなく、その前の準備段階からずっと人間関係を構築しているからこそ、時にぶつかり合いながらでも忌憚なく意見を言い合えたのかな、とは思いますね。

事前の準備は大きな力に

UTmap編集部
プログラムの中で、やってよかったことを教えてください。

内田:
事前の勉強会で、欧州の市場形態などについて、ダイキンからデータをもらえたので、その分析ができたのは良かったと思います。また、英語しかしゃべれない現地の社員と話す機会が想像以上に多く、海外に行っている間はずっと英語、みたいな感じだったんですね。なので、事前に英会話の練習をしていたのも大きかったです。

UGIPの選考は厳しい?

UTmap編集部
UGIPの選考フローや選考基準について、詳しく教えてください。

鈴木:
まず、志望理由、希望するコースを記入したエントリーシートを提出します。エントリーシートが通ると、東京支社での面接選考に進みます。面接選考では、グループ面談や個人面談、英語面接などが行われますね。

内田:
私の時のグループ面談のテーマは、チームで意見がぶつかった時にどうやって議論を前に進めるか、というものでした。

選考倍率はコースによって異なりますが、平均で8倍にも及ぶため、選考過程は相当しっかり作られている印象を受けました。

エントリーシートの希望コースは第3希望まで書けたのですが、私は熱意を示すために、あえて欧州単願で行きました。

鈴木:
選考基準でいうと、重要なのはビジネスの知識や英語力ではないと思います。私も、英語は正直そこまでですし。確かに、英語を喋れる人も多かったとは思うのですが、ダイキンの方も、英語力で選んでいるわけではない、というのは言っていました。英語はできるに越したことはないし、私ももっと勉強しておけば、とは思ったのですが、選考段階で重視されていたのはやる気だったと思います。

内田:
そうですね、英語力があればいいというよりは、ポテンシャルがある人や熱意、やる気がダイキンの人に伝わった人が選考に通った感じですかね。私や鈴木さんのように1,2年生でも選ばれている人は多いので、就活慣れしているとか、英語がすごくできるだけで受かるようなものではなかったと思います。

「海外で働く」って?

UTmap編集部
海外でのコミュニケーションについて、意識・考え方の違いを感じた経験はありますか?

内田:
あまり地位、立場にとらわれずにはっきり意見を述べる傾向があるように思いますね。現地で、役員級の社員と若手社員とプログラム参加者で話す機会があったのですが、若手社員が役員に遠慮することなく意見を出していたのが印象的でした。時には役員の意見と対立するようなことも臆さず言っており、その率直さはあまり日本にはないものかもしれません。

鈴木:
海外で働く「グローバルな人材」みたいなものへの漠然とした憧れがずっとありました。でも、実際に海外で地道に泥臭く働くダイキンの日本人社員と交流して、そんなに遠く離れた存在じゃないのかもしれないと気付きました。関西の人が多くて親しみやすかったのもあるんですけど(笑)。特に、アメリカで何回か話したダイキンの女性社員から、学生時代の話を聞いたりするうち、「グローバル人材」みたいなぼんやりとしたイメージが、鮮明なものになりました。将来のロールモデルになり得るような人と出会えた、という点で意識の変化が大きく、貴重な経験でした。

内田:
私も、現地に駐在する日本の社員とキャリアやプライベートについて話す機会を持てるのは、このプログラムの大きな魅力だと思います。将来のキャリアへの解像度が上がり、自分も日本や世界に貢献したいという思いを強めました。

学年の差を超えた信頼関係!

UTmap編集部
先ほどもお話があったと思いますが、学部1年生から大学院生までいる中で、学年の差みたいなものを感じることはありますか?

鈴木:
もちろん経験の差はありますが、意外に低学年の人の方がしっかりしている印象もありますね。礼儀とかマナーの点で、年下の人たちが結構しっかりしていて、その一方上級生がちゃんと対応できていなくてお叱りを受けたりして(笑)。個人の性格みたいなところが大きいとは思うんですけど。

そんな感じで、学年が違うから距離があるとか遠慮するとかそういうことはなく、皆思ったことを言っていましたね。

内田:
欧州テーマの代表が私で、大学院生もいる中、学部2年生の私が代表でいいのか、みたいな不安はあったんですけど、先輩たちがむしろ積極的にサポートに回ってくれて。信頼して見守ってくれていたんだな、と思いますね。

海外インターンを通して感じた意識や視点の変化

UTmap編集部
UGIPを通して、意識や視点、将来像にどのような変化があったか教えてください。

鈴木:
UGIPを通じてどんな変化があったか振り返る時間もプログラム内に組み込まれていたので、考える機会も多かったのですが、改めて考えると、そんなに自分に大きな変化があったわけではないと思っています。逆に、UGIPを通じて、変わらない自分を見つけられたのが最大の成果だと考えていますね。自分がチームの中で果たせる役割とか、意見をはっきり主張できることとか、自分らしさみたいなものを再確認して、さらに伸ばせたのが一番の収穫でした。

内田:
私は大きく二つあったと思っています。一つ目は、先ほども話したのですが、海外で働くことへの解像度が上がったこと。UGIPに参加する前は、自分が海外で働くということは考えていなかったのですが、現地の社員とキャリアについてしっかり話せたこともあり、海外で働く、ということへの忌避感みたいなものがなくなりました。

二つ目は、リーダーシップを身に着けられたことです。高校時代も、リーダー的な役割を担うことがあったのですが、人に仕事を任せることが苦手で、どうしても自分一人で抱え込んでしまうことが多かったです。でも、今回リーダー役をする中で、個人的な信頼関係に基づいて仕事を積極的に手伝ってくれる先輩方に囲まれて、仕事を安心して任せられるようになりました。そういう意味で、自分が成長できたかなと思います。

これから参加する人にメッセージ

UTmap編集部
最後に、これからUGIPに参加しようとしている人へのメッセージをお願いします。

鈴木:
私は絶対UGIPに受かるとは思っていなかったのですが、とりあえず受けてみようと思って応募しました。その結果、すごくいい経験ができたので、チャレンジしたあの時の自分をほめてあげたいと思っているんですけど、絶対に自分にはできないと思わずに、とりあえずチャレンジしてみてほしい、というのが私が一番伝えたいことですね。

内田:
このUGIP、ダイキンの社員さんが多大な労力を割いてくれているんですが、成果を求めるだけじゃなくて、学生を成長させようという思いを感じるプログラムなんですよね。本気で一生懸命取り組めば、向こうも全力で打ち返してくれます。本気で取り組めば、自分の成長につながる貴重な機会だと思うので、頑張ってください。

2024年度もUGIPダイキン工業企画が行われます!

本記事を読んで少しでも興味を持った方はぜひ、以下の東大のホームページより確認してみてください。

UGIP ダイキン工業(株)企画 | 東京大学

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