入学準備
京大の授業・単位・成績を徹底解説|授業の取り方概論①
履修入門ガイド
こんにちは!京大map編集部です。
皆さんは、漫画『数字であそぼ。』をご存じでしょうか。
京都大学を思わせる「吉田大学」理学部を舞台に、数学に挫折した秀才の毎日をユーモラスに描く『数字であそぼ。』。難解な数学をテーマにしながら、つい笑ってしまう読みやすさと、京大生である筆者も「これ、あるなあ」と頷きたくなるキャンパスの空気感が魅力です。
今回、京大mapでは、『数字であそぼ。』の作者である絹田村子先生にインタビューをさせていただきました。連載のきっかけから、取材で見えてきた京大生の素顔、先生おすすめの京都の場所、そして京大生や京大を目指す中高生へのメッセージまで、じっくり伺っています。ぜひ最後までご覧ください!
驚異の記憶力を持つ秀才・横辺建己(よこべ・たてき)は、京都大学を思わせる吉田大学理学部に進学。しかし、大学数学のあまりの難しさに挫折。2回の留年を経て、再び数学と向き合い始めるところから物語はスタート。個性豊かな仲間や教授たちとの学生生活を通して、数学の奥深さと大学生活の日常をユーモラスに描くキャンパスコメディ。『月刊flowers』(小学館)にて2018年8月号から連載中。単行本は既刊16巻(2026年10月時点)。2024年には第69回(令和5年度)小学館漫画賞を受賞。(『月刊flowers』公式サイト)

漫画家。奈良県出身で、学生時代を京都で過ごす。2008年、「道行き」で第36回コミックオーディション銀の花賞を受賞し、同作が『月刊flowers』(小学館)2008年9月号に掲載されてデビュー。代表作は『さんすくみ』(全10巻)や『重要参考人探偵』(全7巻、2017年にテレビ朝日でドラマ化)など。
次の連載を考えていた時に、大学生を主人公にするというアイデアはあったのですが、具体的にどんな内容にするかを、ずっと考えあぐねていました。
ちょうどそのタイミングで、京大出身の知人と数学の話になったんです。「1+2+3+…+100」という足し算を、どうやって計算するかという話でした。普通なら、順番に足していくと思うのですが、その知人から「面積として考えれば掛け算で出せる(※)」と聞き、私にはまったくなかった発想だったので、とても驚いたんです。当時はまだ数学のことを深く知らなかったのですが、「数学には何か面白いものがあるかもしれない」と感じました。
※編集部注:1から100までの数を棒グラフのように階段状に並べ、同じ形をもう一つ逆さにして組み合わせると、縦100×横101の長方形になります。その面積の半分、100×101÷2=5050が答えになるという考え方です。
また、その知人のつながりで、京大数学科出身の方とも知り合うことができたのも大きかったです。しかも舞台となる京都で私自身も大学時代を過ごしたので、土地勘がありました。こうした偶然が重なったこともあり、連載を始めることになりました。
私自身が元々コメディ好きなので、これまで描いてきた漫画も、基本的にはコメディ寄りなんです。なので、どうしてもコミカルになってしまうというのはありました(笑)。
あとは、数学は苦手な人が多い学問ですよね。だからこそ、ポップな感じで描きたいと思っていて、そうなるとコメディとの相性がいいなと思ったんです。本当の数学の姿も知ってほしいけれど、あまりシリアスに描くと、すごく複雑な話になってしまいます。軽い気持ちで読んでもらって、数学が「とっつきやすい」と思ってほしいという思いもあって、コメディにしました。
また、知人の京大生の話を聞くと、キャラクターが濃い人がかなり多かったので、そういうところも、コメディに向いているんじゃないかと思いました。
連載当初は、SNSを見ると数学をやっている方たちが多い印象でした。また、女性誌での連載なのですが、男性の読者も意外と多かったようです。
最近は今まさに数学を学んでいる学生の方たちはもちろん、昔数学を諦めてしまった方からも「あのとき、こういう友人がいたら…」という言葉をいただいたこともありました。また、家族で読んでくださっている方もいて、小学生からお手紙をもらったこともあります。いろいろな方に読んでいただけているのがとても嬉しいです。
数学科の方々に実際にお会いして、私は「案外普通だな」という印象を持ちました。一般的に描かれる数学者や教授は「変わり者」として描かれることが多い印象だったので、むしろ「実際は案外普通なんですよ」という思いで描いていたんです。ところが、読者の方々には「変わり者だらけ」と受け止められていたようで(笑)。その反応は意外でした。
主に理学部で数学を学ぶ方々に取材しましたが、陽気でノリが軽い、いわゆる「ウェイ系」という感じの人はあまりいなくて、物静かで真面目な人が多いという印象でした。学問への関心が強い人が多いのだと思います。
ニュースなどで話題になるような学生はごく一部ということが分かり、イメージが変わりましたね。ただ、中にはかなり変わった人もいるのですが(笑)。
設定には実際に見聞きしたエピソードを多く取り入れています。たとえば、主人公の横辺のように、実際に2年間の留年を経験した方の話も参考にしました。
もちろん、コメディとして人物の振る舞いを強調している部分はあります。ただ、どのキャラクターも勉強や数学には真剣です。その真面目さと、日常生活で見せる意外な一面とのギャップが、人物の魅力につながるよう意識しています。

今も時々足を運んでいます。頻繁には行けませんが、作画に必要な資料写真が足りなくなると、撮りに行くという感じですね。
まず、周りの環境がいいですよね。飲食店が多くて、学生街らしい雰囲気があります。キャンパスには昔からの建物が残っていて、その趣も好きです。ただ、たくさんあるので、いざ一つ挙げようとすると迷ってしまいますね(笑)。
あとは何より、のんびりした空気がいいなと思います。駅からは少し距離がありますが、それもかえって、この落ち着いた雰囲気につながっているのかもしれません。私は喫茶店が好きなので、大学の近くにたくさんあるのもうらやましいですね。
学生が多いこともあり、「学生に優しい街」という印象です。当時から学生向けのお店もたくさんありました。それに、自転車があればたいていどこへでも行けるのは、学生にとって便利ですよね。ただ、自転車は作画の面で大変なこともあり、作中にはあまり登場していないのですが(笑)。
一方で、観光地を巡ったり、いわゆる「京都らしさ」を味わえるようになったのは、社会に出てからですね。学生時代はお金がないので、通えるお店がどうしても限られていました。
のんびり過ごすなら、出町柳のあたりの鴨川がいいですね。ドラマにもよく登場する、京都らしさを感じられる場所です。喫茶店やパン屋さんもおすすめですよ。
私が好きなのは、南禅寺のあたりです。湯豆腐が有名で、疏水も流れていて、訪れたときは静かでよかったです。もう少し北に足を延ばして、三千院のあたりも雰囲気がいいですよね。
大学の近くでは、カフェコレクションや進々堂にはよく行きます。少し北のほうだと、ケニアにも足を運びますね。喫茶店が好きなので、取材で京都を訪れると、つい立ち寄ってしまいます。
それから、喫茶店ではないのですが、銀閣寺のほうにある私設図書館は気になっています。落ち着いて集中して勉強できる場所で、代々、京大生が店員として働いているらしいですね。

そうなんです。観光客の増加は一時的なものかもしれないと思っていて、打ち合わせでインバウンドの話題が出ることはあっても、作品にはあまり取り入れていませんでした。現在もインバウンドの方は増えていると思うので、そろそろ描いてもいいかなとも思っています。
『京大理で学ぼ。』とは京都大学理学部が2023年に発行した、受験生や保護者、高校の先生向けの情報誌です。『数字であそぼ。』とコラボし、理学部での「学び・進路・生活」を伝える、絹田先生の描き下ろし漫画やイラストが掲載されました。冊子はWebでも無料で読むことができます(京大理で学ぼ。)。
京大の理学部の方からお声がけいただいたのがきっかけです。最初は「京大の先生のお話を聞いてみませんか」というお誘いだったのですが、先生方のお話を聞く機会はあまりなかったので、ぜひ伺いたいと思いました。
そのときに理学部のさまざまな先生にお会いして、翌年くらいに冊子へのご協力のお話をいただきました。私もぜひご協力したいと思ったので、コラボレーションが実現しました。
毎回、「今回はこの先生の研究を紹介してほしい」という形で題材をいただいていました。高校生に理学部への関心を持ってもらうための冊子なので、親しみやすくする意味で、数学以外のテーマでも、『数字であそぼ。』のキャラクターを登場させることにしました。
確かに取材をする中で、数学科から金融業界に進んだ方は多かったですね。最近はコンサルティング業界でも理系の人材が求められていると聞き、それも参考にしながら描いています。


そうですね、実際に聞いた話も参考にしています。就活という点でいうと、京大にお招きいただいた際、キャリアサポートの方にもお話を伺いました。理学部の学生には、書類選考は通っても、面接で苦労する人がいるそうで、それも取り入れました。
あとは、京大出身の知人に聞いても、就職活動にはほとんど取り組んでいなかったようです(笑)。理学部には学問を突き詰めたい人が多いと思うので、就職活動にあまり関心が向かない人もいるのかもしれませんね。
それは意識している面があります。ただ、横辺が、できる人に追いつくことは決してないと思うんです。できる人も、同じように前に進んでいますから。
それでも、主人公にはやっぱり成長してほしいですよね。だから数学を学んでいる方に「この段階なら、こういうことに気づくのでは」と意見を聞きながら、横辺の成長を少しずつ描いています。最後は無事に卒業までたどり着いてほしいです。
やはり、数学で修士論文をどう仕上げるのかという点ですね。
ただ、論文の内容を具体的に描くと、どうしても難しい話になってしまいます。専門的な内容には踏み込みすぎず、修士論文に取り組む雰囲気を伝えながら、横辺が何をできるようになったのか、その成長を見せたいと思っています。
それから、就職活動もまだ終わっていません。それを含めて、これからの展開を楽しみにしてほしいです。
京都大学は、本当にいい大学だと思います。そこに入学できること自体、すごいことですよね。ただ、勉強が得意な人たちが集まる場所だからこそ、周りと自分を比べて悩むこともあると思います。
そんなときは、一人で抱え込まず、誰かに相談してほしいです。これは強く伝えたいですね。取材でも、留年した方が立ち直るきっかけになったのは、同じ境遇の友人の存在だったと聞きました。悩みを打ち明けられる相手がいることは、それだけ大きいのだと思います。
そして、大学生活を楽しんでほしいです。大学生の間は、いろいろなことに挑戦できます。悩むことがあっても周りを頼りながら、今だからこそできることを思いきり楽しんでください。
それから、京大はまだ女子学生が少ないので、もっと増えてほしいと思っています。女子のみなさんにも、ぜひ受験してほしいですね。
『数字であそぼ。』には、大学生活の楽しいところをたくさん詰め込んでいます。これから進路を考える方にも、作品を通して京大の雰囲気を感じてもらえたら嬉しいです。